第107話「空想トリップ 書かなければ忘れる旅、忘れない旅」

二ヶ国語話せると、将来ぼける可能性
が減るらしい。それでも僕はぼけるだ
ろう。2020年、covid-19は世界に甚大
な被害をもたらした。覚えていますか。

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カメラマン、33歳、イギリス11ヶ月目

 

イギリスは本来ならもう夏と言って良い時期で

旅行をしたかった人もたくさんいたと思う。

今年はそれが叶わないから、僕らがショートフィルムを作るために撮り貯めていた素材を

可能な範囲で上げていこうと思う。

 

 

そもそもこのブログの最終地点は、「ショートフィルムを作って映画祭に出す」というものだった。

最年少にて出資者の砂吹(すなふき)、脚本をつくる三井、ヘアメイクの味村(味村)、そして撮影担当の僕こと広末。

なぜこんなことになったか、という簡単な紹介はこちらのAboutから。

砂吹が「取材という名の旅」という名目を付けて、僕らは実に色々なところに行った。

 

 

よく日本の友達に「フラットメイトとは」「他人と同じ家で暮らすとはどんな気持ちなのか」「事件は起きないのか」「女の子はすっぴんなのか」なんてことをよく訊かれる。

住人同士とても仲の良い家もあれば、マンションのお隣さんのように顔と名前しか知らない、という場合もあるらしい。

もともと他人だったからこそ、居心地が良いこともあると思う。

もともと他人だった僕らは、今さらという感じで、旅先で色々な話をした。

 

 

同じ女の子でも、三井は昔のことをよく覚えていた。幼少の頃、小学生、中学生、高校生。どんなものが好きで、こんな事件が起きて、当時の自分はそんな風に思ったと、昨日の出来事のように語る。

一方の味村は、よくそんなことを覚えているね、と感心した。私はあまり思い出せない、と寂しそうにした。

別に、過去が思い出せないからといって薄情だと思うわけではもちろんないし、思い出話が好きだからといって過去に囚われているなどというつもりもない。

いろいろな人がいる、ということ。その中で、自分はどうなのだろうと思った。

 

 

書かないと、きっと忘れていってしまう。

今年はどうせどこにも行けないから、空想トリップでもすることにする。

去年の8月末。

僕ら4人はバルセロナ行きの片道チケットを買った。

 

 

向こうの空港に着くときには携帯が失くなっているんだけど

そんな未来のことは知るよしもないから

僕は鼻歌まじりに写真を撮りたい名所やレビューの良いバルに星を付けていた。

 

「だから海外は慣れてきた頃が危ないって言っただろ」

の図。

in Barcelona.

 

 

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