第36話「2020年流行語 そんなこと言ってられない婚」

 

 

2020年を振り返る。流行語大賞には選ばれなかったものの、 「そんなこと言ってられない婚」という言葉がそれなりに流行った一年だったのではないだろうか。

 

ひと昔前まで「出会い系」と呼ばれ、人々から白い目で見られてきたワードは、「マッチング」というクリーンなイメージに置き換えられた。

 

転職サイトや、旅行者に空き家を貸すサイト、引っ越し一括お見積もりなど、多岐に渡るマッチング業界がその言葉の意味自体を曖昧にしたため、男女のマッチングサイトにおいても、老若男女問わず幅広い人たちが気軽に登録することができたのではないか、と専門家は言う。

 

今日では、変な自意識で婚活をしない人、結婚できないと嘆くだけで何のアクションも起こさない人々の方が白い目で見られるようになってきている。

 

 

 

 

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そう、そんなこと言ってられない婚の「そんなこと」とは、

 

「出会いがないから」「今は忙しいから」「仕事が安定しないから」「友達の紹介という名の合コン」「マッチングサイトで出会った」「ナンパされたのがきっかけ」「もう年だから」「太ってるから」などのもっともらしい言い訳のすべてであって、

 

なんだかんだと理由をつけて手をこまねいているよりも、結婚をする、家族を持つと言う事実の方が、辛かろうが大変だろうが素晴らしい、というメッセージだった。

 

そんなこと言ってられない婚を後押ししたひとつの要因がマッチングサイトであったのは間違いないだろう。事実、2018年の婚姻率は前年の0,49%から0,21%ポイント上がっった0,70%を記録。これは21世紀に入ってからは最高だった2001年の0,64%を大きく上回る結果となり、実に839,000件のカップルが入籍した。

 

 

 

 

その中で、マッチングサイトに使うプロフィール写真は、とくに重要だった。

 

当初、マッチングサイトの登録写真は、恥ずかしいという理由から、顔を背けたピース写真や、サングラス着用、グラスで半分以上顔が隠れたものを使う人などが少なくなかった。

 

 

 

 

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そこで、カメラマンの広末氏が提案した、自撮りやアプリの加工ではない、新しいタイプのプロフィール写真が話題になった。

その名も「証プリ」。証明写真とプリクラの間、という意味らしい。

 

今日はその広末氏に話を聞いた。

 

 

 

 

「証明写真はありのままを写しますが、それではあまりにも顔色が悪く、素っ気ない。時には犯罪者のように写ってしまうこともあります。

 

かといってプリクラではまったくの別人ですよね。自動的に化粧がなされ、目が人形のように大きくなり、頬が削られる。それでは実際にどんな人なのか、分かりません。

 

そこで、軽く打ち合わせをした後、プロの手によって簡単なヘアメイクをして、小一時間で撮影をする一般の方向けの気軽なプロフィール写真が撮れたらな、と思って始めたんです」

 

 

 

 

その撮影の流れを聞いてみた。

 

当日カフェに集まり打ち合わせ。レンズに慣れてもらうために、話しながら撮り始めるという。

 

その場でヘアメイクに入り、そのカフェや、近場の公園などで撮影をした後、その日の夜にデータお渡しという流れだそうだ。

 

写真の光のレタッチはするものの、顔は変えないという。データはSNSなどですぐ使えるサイズになっている。

 

 

 

 

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「服は基本的に本人の持っているものを使わせてもらいます。衣裳、撮影場所、また、手に持ってるものがコーヒーカップなのか、ジョッキなのか、シャンパングラスなのか。それだけで、その人らしさやバックグラウンドって、結構出るものなんですよ。主にこちらから提案をしますが、こんなのがやりたい、というのももちろん大歓迎です」

 

やはり、女性なら男ウケする衣裳や、親しみやすい笑顔が良いのでしょうか。

 

「いえ、もし笑うのが苦手なら、それでいいんです。凛とした横顔を撮るまでです。むしろ、背伸びをするのは良くありません。つま先立ちしたまま、長い結婚生活を送るのは、きっと大変です。僕はメイクだってすっぴんでもいいと思ってるくらいですが、まあ女性からしたら、そうはいかないですよね」

 

 

 

 

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飽くまで自然体、その人らしさを大事にするという広末氏。

 

可愛さや笑顔は二の次で、はっきりと写っていて、どんな人か想像できることが大事だという。

 

「旅が好きなら旅行先で、世界遺産をバックになんて方も。ファッションが好きな方は引きで全身を撮ったりします」

 

 

 

 

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広末氏は現在独身だが、「説得力ないですよねえ」と笑う親しみやすい笑顔が、人々をリラックスさせ、今日も素敵な写真が生まれているのだろう。

 

 

インタビュアー:三井 咲

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

「という未来を描いてみたよ!」

 

広末くんが嬉しそうに日記ノートを持ってきた。

 

「うんうん、妄想もここまで具体的だと、とても良いと思うよ」

 

 

 

 

 

砂吹が、メンバー全員に今年の抱負を書かせた。

 

わたしの仕事は今年も、みんなの日記をこのブログに起こすこと。

 

そして今年は、1億当たった砂吹、作家志望の私、三井、カメラマンの広末くん、ヘアメイクの味村さんの全員で、ショートフィルムを作る。

 

わたしは、その脚本を担当する。

 

 

 

 

新しい年が始まった。

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